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新着案内ついでに日記

29 October

本日新着更新休みます

本日、新着の更新お休みさせて頂きます。
今週は火曜、木曜の2回の更新予定です。
ご了承下さいませ。

前回、前々回と書きかけてうまく着地できなかった文章を改めて加筆、修正。
上手く着地できているかどうかは定かではないものの、
まあ何とか読める文章になったので以下に。

ブログ等での「炎上」が話題に上る事が良くあるが、
何も「炎上」はインタラクティヴなインターネットの世界の事だけではなく、
ワイドショー、もしくはワイドショー的報道における正義の発露を、
元祖「炎上」的なるものと言ってもそう遠くはないだろう。
亀田家長男の謝罪会見があり世間の風向きも変わりつつあるようだが、
その元祖「炎上」もしくは「発情」ワイドショーは、
未だ亀田家関連に鉄槌を下ろす事に集中しているようで、
自分としては以前から否定的であった亀田家ではあったものの、
これまで賞賛もしくは黙認していたメディアが、
こうも掌返したようにバッシングの嵐となったりすると、
何だい、しつこいねえ、
全くもってヒステリックに喧しいと、
こちらも掌返して思ってしまうのは、
ヒネクレて育ってしまった悲しい性なのだが、
自分としては素晴らしきバランス感覚と思うようにしている。

そんな未だ賑やかな亀田家周辺ではあるが、
今回は一連の騒動から興味を持った点から、
少し話しを広げてみたい。

亀田家関連の試合を盛り上げるべく、
毎度毎度TBSを筆頭とする煽りまくりの報道(番宣)が行われたが、
派手なパフォーマンス、
安易な家族ストーリー等でのし上がろうとした亀田家を持ち上げてきたのは、
何もTBSだけでなく、
低迷しているボクシング人気にスポットを当てる切り札、
いや藁をも掴むような心持ちだったのかもしれないが、
特別扱いをし続けてきたボクシング業界も同じことである。
結局シビアなスポーツであるところの、
ボクシングという格闘技が持つ自浄作用によって、
メッキは見事に剥がされ、
今回のような憂き目にあう事となったのはご存知の通りだが、
失墜する前の一連の亀田ブーム的仕掛けによって、
ボクシング業界が一番期待したであろう、
新たなボクシング・ファンを獲得できたのかどうか?
というところに興味を持ったのだが、
それというのも
この手のブーム的盛り上げでは、
結局は安易にブームに乗っかる主体性の無い、
その他大勢の人達を短期間取り込むだけという気がしてならないからである。

ベストセラーだから読んでみよう、
ミリオンセラーだから聴いてみよう、
観客動員が凄いから見に行ってみよう、
そういった人達を取り込む事で、
一時的に低迷状態がストップしたとしても、
これって将来的にそれぞれの業界にとって良い事なのだろうか?
これらの主体性の無い人達は、
ブームが終わればまた次のブームへと去っていくのが道理。
そんなにわかファンの中から、
本当のボクシング・ファンや読書家、
音楽好きが育っていく確率は皆無とは言わないまでも、
非常に低いと思わざるを得ない。

ボクシング業界、音楽業界、出版業界等々、
これ全てビジネスであるから、
利益を上げる事は悪い事ではないと当然認識しているし、
売れているものが全て悪いものである等と、
視野が狭く偏屈でナイーヴな青年のような事を言いたい訳ではないが、
ビートルズの時代の例を出すまでもなく、
品質の高いものがセールス的に成功していた時代と比べると、
あらゆるものが細分化された現在では、
良いモノが売れている確立は非常に低く、
どうしても薄口のモノばかりがセールス的に成功しやすい世の中になっていると思う。
こんな世の中だからか、
各業界がモノを作り出す際に、
薄口で口ざわりが良いもの、判りやすいものばかりを
プッシュする場合が多いのが何とも残念なのである。

公開当時はそれほどヒットしなかったが、
今や名作として語られ続けている映画。
リリース当時の売上は大した事なくとも、
リリースから何十年と経っても未だCD化され、
コンスタントに売れ続けている名盤。
視聴率は良くなかったが、
その試合を見た者の中から、
後楽園ホールに通いつめるような、
熱狂的信者とも言うべきファンを生み出したような感動的な試合。

良いモノを作る。
良い試合をする。
これらの地道な努力こそが、
時が経過しても残ってくれる、
しっかりと根付いたファンを作り出していくのは間違いないだろう。
これらの草の根的に広がっていくファンの存在というのは、
間欠泉の如く突如として吹き上がるブーム的な盛り上がりとは違い、
マスコミに採り上げられることも少なく、
業界としても手応えが伝わり辛いのかもしれない。
しかしながら瞬間風速的な大ヒットで湧き上がるにわかファンと比べ、
これらのファンがどれだけ力強いかは言わずもがなであろう。
このような土台がしっかりとしたコアなファンが付くかどうかというのは、
価値観が多様化した現在、
各業界にとって非常に大事なはずだ。

ブーム的な盛り上がりは、その業界が活況を呈しているように見え、
広く世間一般に知らしめるためには時には必要なのかもしれない。
しかし、今回の亀田ブームの仕掛けに顕著だったように、
この手の手法は、
得てしてコアなファンを蔑(ないがし)ろにし、
薄〜い野次馬的ファンに媚を売っているようにしか見えない場合がほとんどである。
マスコミがその手のブームに飛びついたり、加担するのは仕方が無いとしても、
各業界自体はそこらへんは毅然とした態度を取って頂きたいし、
マスコミに擦り寄って、へえこら等して欲しくは無いのである。
安易な手法で付いた安易なファンは呆気なく去っていく。
この事を是非とも各業界の人達にはいつも肝に銘じて頂きつつ、
地道な努力で熱いファンを獲得して頂きたいと思うばかりである。

17:46:23 - sammartino - - TrackBacks